未来派な僕ら

相原毅の私的なオフィス論#6

未来はどこに?

なぜだか分かりませんが、
ワタクシが子供の頃放映されていた手塚アニメ「ジェッターマルス」(←知らんやろ)の時代設定が、
いまから8年も前の2015年だったのをはっきりと覚えています。

その煌びやかで明るくスウィンギーな未来像に
「45歳頃はこんな世界なのか!」と恐れオノノイテおりました。

その後1999年アンゴルモアの大王をやり過ごし、
2001年にもモノリスは降臨せず、
そして当時高校生のワタクシにキョーレツな印象を残した
「ブレードランナー」の2019年・夏、もあっという間に通り過ぎてしまい、
現在2023年、何とか生きながらえているわけですが、
想像していた未来像とのギャップ、コレジャナイ感を日々感じています。(クルマ飛んでないし)

皆さんが「未来」だと思う時間ってどのくらい先のことでしょうか?

80年代にアメリカで放映されていた
SFドラマ「マックスヘッドルーム」では“20分後の未来”がテーマとされていました。

ちょっと絶妙な未来感だと思いませんか?
なんとなく過ごしている日常のなかで、“20分後”という区切りを入れられると、
もしかしたら何かが起こるのでは、というザワザワ感が沸き起こってきます。

だけどフツーに考えて「未来です」となるのは、
やはり20分ではなく、20年とかそれ以上でしょう。
あまり近いと日常の延長に見えてしまい、想像のしがいがないですよね?

さてGGY※1の戯言はおいといて、
「未来のオフィス、未来の働き方を考える」 としたとき、
それはどのくらい先を見据えるべきでしょうか?

京都では300年を超えないと老舗と呼ばず、
昭和以降だと「最近のお店」などと言われてしまうそうですが(ケンミンショー調べ)、
一般的にイマドキの企業寿命は30年程度といわれることが多いようです(→いろいろな捉え方があります)。


※1_年配の人に対して配慮の足りない表現。しばしば自虐的にも使われる。対義語はBBA。

未来の働き方

ポケットベルってご存じでしょうか?
1980年代後半に登場し、のちに女子高生まで巻き込む大ブームになりましたが(←知らんやろ)、
PHSや携帯電話の急速な普及で一気に需要が低下し、2019年にサービスが終了しています。

このサイクルがだいたい30年、
ひとつの新しいサービスやテクノロジーが世に出て、普及し、
成熟したのち、更に新しいサービスやテクノロジーに取って代わられるまでの期間と捉えると、
結構他のモノにも当てはまるのではないでしょうか。

逆に考えるとワンアイデア・ワンサービスのみの勝負だと、
その賞味期限約30年を迎えると同時に、企業としても「終了」になるといえそうです。

想像してみて下さい、30年後のオフィスであなたは何をしているでしょう?(ワタクシはもう・・・・かも)

近年外資金融からディーラーの方々が一斉に姿を消したように、
いままで当たり前だったのに、すべてが過去のモノとなっている仕事がいっぱいあるはずです。

その要因となるのは言うに及ばず、AIの台頭で間違いありません。
現在我々の生活の中でその存在をあまり感じることはありませんが、
画像認識系のサービス(品質管理や警備、自動運転などの安全サポート)では、
もはやなくてはならないレベルまで普及が進んでいるように、他の分野での進出も時間の問題です。

では、存続しているヒトの仕事はどこにあるのでしょうか?
おそらくはAIが様々な判断のサポートをしてくれる時代になっていると思いますが、
たぶん業務上の最終的な判断はまだヒトに委ねられているだろうと推察します。

市場に多くのプレイヤー(企業)が集まっている以上、
全てのプレイヤーが勝つわけにはいきません。

もし負け(判断の間違い)が続いた場合、
プレイヤー(企業)は判断の仕組みを変えざるを得なくなりますよね?

そこで取り換えるのはAIではなく、
最終判断者のヒトってカタチにしておいた方が、いろいろ丸く収まるのではないでしょうか?

技術が進歩してもヒトの考え方ってそんなに変わらないので、
きっとそんな落としどころで共存していくのだと思います(人間だもの)。

またゼロから何かを創り出すクリエイティブな思考に関してAIは不向きだと言われていますが、
一旦ヒトが起点となるアイデアを放り投げさえすれば、そこから無限のバリエーションを瞬く間に生み出し、
膨大なデータから、市場でウケそうなパターンをちゃんと推奨できるのがAiです。

するとやっぱりヒトのやることって、
元のアイデアを生み出すことと、成果物を選択しその責任を持つことに帰結していきますね。

結局、手持ちの札とか装備する武器がすごーく豪華で充実しているけど、
やっていることは今とそんなにかわらないんじゃないのってのが、ワタクシの未来の働き方に対する所感です。
(振り返って1990年の視点から見た現在も同じイメージだと思います、GGYの皆様いかがですか?)

上で想像した未来だと、
高度な判断やクリエイティブの種を生み出す以外の雑務は
みーんな無くなっているみたいに感じるけど、そんな心配は無用でしょう。

新しいテクノロジーが導入されれば、それをケアする必要が生まれるし、
それが高度で複雑であればあるほど、掛かるマンパワーは増えていくのが世の常です。


なにより、
ヒトはハタラカナクテハイキテユケナイ生き物
ですからね。仕事は造られていくのです。

さあ夢想はいい加減にして明日も地道に働きましょう、
そして昨日よりほんの少し成長するのです!

皆様未来は共にあります、日々精進致しましょう

御機嫌よう

相原 毅

株式会社イトーキ ワークスタイルデザイン統括部 
コンサルティングセンター シニアディレクター

1991年からインテリア設計事務所にてキャリアをスタート。
主に丸の内界隈のオフィス移転・改修等を中心にインテリアデザイン設計及びプロジェクトマネジメント、
コンサルティングを担当、2020年より現職
2000年~2006年、三菱地所
ビル管理部 新ビルテナント工事請負室に出向、丸の内再開発事業に携わる
主幹プロジェクトにて2010年日経ニューオフィス推進賞、
2018年日経ニューオフィス経済産業大臣賞、並びに日本ファシリティマネジメント大賞受賞
工作、エレキベース、自転車、少年野球が好き

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