入札の土俵

Bamboo社長のプロジェクトマネジメント論
< 競争入札 >

こんにちは。バンブー社長です。
今回は「入札の土俵」というテーマです。

建築プロジェクトでは、工事の入札や、ファニチャーの入札はもちろん
その入札の監理を委託するPM設計会社を選定する為のコンペも実施されます。

まず、結論から話します。以下3パターンの入札は、
リスキーでありメリットが少ない、そして非常に生産性の低いアクションです。
主催者・PM会社・参加者 関係者全員にとって、時間と労力の無駄になりかねません。
ワタシタチ同じ日本人同士、ジャパニーズGDPが下がるような仕事は控えましょう!

1_概算金額を比べること
2_サービス内容が違う金額を比べること
3_契約できない会社の金額を比べること

もちろん、発注者側に業者選定の理由が必要な事は、私も十分に理解しています。
ただし、その理由は「Reason」では無く「Excuse」である場合が多いんですよね。
お客様の立場も鑑みて、普段はダイレクトにこのような主張はしませんが、
今回は皆様の生産性向上の一助になればと思い、ストレートな表現でコラムさせて頂きます。

1_概算金額を比べること (工事入札を例にします)
そもそも、工事入札が効果を発揮するには、以下条件が前提となります。

 シビアなコスト競争が可能な工事図面・それを実施する工程表、施工条件が整理されている。
 その上で、適切な見積期間を設け、入札に参加する会社に対して正確な質疑応答を実施し
 受領した見積の内容を細部までチェックし、抜け漏れや過剰積算が無いかの確認作業をおこなえる。

  ※私個人的には、この期間を優先的に確保する計画をお勧めしています。
   一方で、このタスクを見込まない、もしくは極端に短期間でスケジュールする。 
   そんなPM会社も世の中には多い印象です。

  ※理解していない人も多いですが、
   図面だけでシビアな見積を作成させるのは不可能です。
   それを、どのように施工するのか?を明確にする事。
   つまり工程表・工事条件まで正確に指示する事が工事見積を依頼する基本です。

逆に、上記条件が整っていない入札は悲惨な結果となります。
内装仕上げ材は未確定、工程表は未確定、下手すると工事区分すらも曖昧。
挙句の果てには「この工事を竣工するにあたり想定される予算は予め見込んでおく事」
そんなコメントが記載されていたらあきれてしまいますね。(まあ、時々ありますが笑)

もちろん、こんな入札要項書でコスト競争ができるはずがありません。
むしろ各社が予備費を大量に見込んでいるので、結局は高い買い物になっているでしょう。

2_サービス内容が違う金額を比べること (PM会社のコンペを例にします)
RFP(Request For Proposal)の意図が曖昧で、
提案内容が参加者の判断に委ねられるようなコンペを開催する事も、情報が散らかるだけなのでお勧めしません。

コンペの参加会社(PM会社・設計会社)は、
曖昧な部分を自分たちに都合良いように解釈したプロポーザルを実施します。
その為、各社の提案内容はサービス範囲(濃度)もコストもバラバラのレンジで集まってしまう事が多いです。

【曖昧な支持しか出せない】 = 【散らかった情報を片付ける事ができない】
結局、何をもって判断すれば良いのか?分からなくなってしまい
最終的には、最も安価な会社を選ぶしかなくなります。(他の理由を見出すのが難しい)
但し、それは最もサービスレベルが低い会社を選択する事を意味しますので、
しわ寄せは、発注者(事務局担当者)に跳ね返ってくるリスクがあります。

3_契約できない会社の金額を比べること
お付き合いのある会社も多いと思いますが、
義理で、入札に当て馬参加させる事は、誰にとっても不幸でしかありません。
「とりあえず見積だけは声掛けしておく」と言いつつも、
そのアフターフォローは思いのほか面倒になる場面も多くあります。

///
入札・コンペは、きちんと実施すればコスパの良い、
発注者側にとって有利なアクションである事は間違いありません。
但し、それを仕切る人間には相応の能力が必要であり、
中途半端なアクションはかえってネガティブな結果に繋がってしまいます。
「実は、意味がない」「逆に、損している」そんな諸刃の剣になりかねないタスクです。
このようなメリデメをご理解頂き、状況を鑑みた慎重な判断をお勧めします!

今回のコラムが、皆様のプロジェクトに役立つ情報になれば幸いです。
読んで頂き、ありがとうございました。

これからも、よろしくお願い致します。^^

Bambooコラム

関連コラム

  • 設備設計の正体
    総合建築工事(建築・設備工事)金額の半分は設備工事の費用です。工事工程の半分は設備工事の期間に割り当てられます。消防法を遵守する為に必要なのは消防設備(設備機器)の機能・性能の担保です。
  • 見積査定・金額交渉の実態(後編)
    発注リミットの3日前に受け取る見積書なんてポツダム宣言みたいなものです。条件交渉していたら3発目の爆弾を落とされてプロジェクトが崩壊してしまいます。その前に無条件降伏するしかないのです。
  • 見積査定・金額交渉の実態(前編)
    1億円の工事見積書は、こんな感じです。  1_仮設工事:500万円 2_建築工事:3500万円 3_電気工事:2000万円 4_空調工事:1500万円 5_防災工事:1000万円 6_諸経費:1500万円
  • プロジェクト予算 - 発注金額の調整 -
    あなたが1000万円相当の業務を発注する時、どちらが有利な契約だと思いますか?  ①1000万円のサービスを600万円に減額する。②1000万円で1200万円分のサービスをさせる。
  • 入札の土俵
    入札・コンペは、発注者側にとって有利なアクションである事は間違いありません。但し、中途半端なアクションはかえってネガティブな結果に繋がってしまいます。