オフィスづくりはUXデザイン?

Bambooコラム

こんにちは。バンブー社長です。
本日は「オフィスづくりは、UXデザイン?」というテーマです。

初めに言葉の定義ですが【UX】とはUser eXperience の略でユーザーの主観的・時間的・状況的な体験価値の事です。
対義語として使われる事が多いのが【UI】これはUserInterfaceの略でお客様の物理的に接点となるサービスや製品の事です。

この解説の前段として、オフィスづくりにおいての発注者ニーズとPM会社スタンスを世代毎に仕分けてみました。

オフィスづくりのニーズ / PM設計会社のスタンス

<昭和>
座席は200席、その内20席は課長で、10席は部長です。会議室は6名用×4・8名用×2・12名用×1を用意して下さい。
社長室は、今より狭くならないように30㎡以上、副社長はその80%の面積で設計して下さい。

お任せ下さい!

<平成>
現在〇〇部が100名。××部が50名。△△部が150名です。将来的な人事異動にもスムーズに対応できるようなレイアウト計画をお願いします。
在籍率の低い部門はフリーアドアドレスを導入します。また、部門間連携が活発化してイノベーションが生まれるスペースを作って下さい。

ご提案させて頂きます。

<令和>
感染予防対策・テレワーク導入を見据えて、不動産ファシリティコストを抑えつつ、
そこに企業のアイデンティティや帰属意識を感じられる空間構築をして下さい。
この先のビジネスモデルの変容にもフレキシブルに対応できるような柔軟性を持たせて下さい。
⇒「お手伝いをさせて頂きます」

お手伝いをさせて頂きます。

少し、大袈裟な表現をしてしまいましたが、オフィスづくりに対してのニーズは、
「具体」(確実性)⇒「抽象」(不確実性)への変遷とも考えられます。
令和にニーズに対して「全てを私にお任せ下さい!」って言いきれる人、信用できますか?笑

ここで上記を「UI」⇒「UX」への変遷と視点を置き換えて、話をUXデザインに戻します。
UXデザインには、「主観的側面」「時間的側面」「状況的側面」の3つがあります。

①主観的側面
ユーザーがその商品やサービスを体験する事で抱く感情や評価のこと。

これは、さっそく難しい切口ではないでしょうか?
オフィス利用者の年齢は20代~60代とバラバラです。
営業職も、専門職も、技術職も、平社員も、中間管理職も、役員もいます。
まして、ダイバーシティを大切にしている昨今では個人の価値観も多様です。
その為、商品販売のようにペルソナを絞れないという側面がある一方で
そこで働くワーカーの多様性を網羅しつつ、共通した企業文化の表現を要求されます。

②時間的側面
プロジェクト期間 旧オフィスと新オフィスの利便性の違いなど一連の体験期間すべてにおいて抱く感情や評価のこと。

PJ期間に提供するサービスは勿論の事、新オフィス完成後のアフターサービス、
その後発生する課題へのサポートまで任せられる事への期待が求められています。

③状況的側面
プユーザーがオフィスを利用する環境や状況を全て考慮すること。

今まさに最もややこしい課題ですね。
そもそもオフィスとは何か?から始まってしまいます。(><)

在宅でも仕事できます。
それでもオフィスというファシリティを(高額なコストを支払ってでも)経営基盤の一つとして定義する。
その理由は企業によっても様々です。
様々であるがゆえ、その企業のワーカーが「あえてオフィスを利用する状況とは何か?」
を見極め、そこに必要な機能を判断する為には、しっかりとした議論・検証が必要になってきます。

つまり、今オフィスづくりに必要なのは、抽象を具体化する力。
そして、それは決して外部の力のみによって導き出されるものではなく、
一連のプロセス、ユーザー体験・ユーザーとの共創といった(User eXperience)から生まれるソリューションです。
極論すれば、物理的アウトプット(User Interface)は、前者におけるプロセスによって具現化された結果論でしかありません。

画像左側に乗せているグラフは、ジェームス・ギャレット氏のUX5階層モデルで、右側にはオフィスづくりにワードを置き換えました。
世の中には「表層/設計・デザイン」もしくは「骨格/プロジェクト憲章」の部分に特化したPM会社も数多く存在します。
但し、UXデザインの価値を生み出す為には、より深い階層から繋がる道筋が必要である事を理解する事が大切です。

今回は、オフィスづくり(建築プロジェクト)を、IT用語の視点に当てはめて考察してみました。
読んで頂き、ありがとうございました。^^

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