ビジネス感覚と法律の観点

設計契約 法律

こんにちはバンブー社長です。

最近、弁護士さんから商取引や企業法務について
色々とレクチャーして頂ける機会がありました。

今回は、その中で私が学んだ事・感じた事を、
フィクション事例で紹介したいと思います。

事件発生

被害者である、A社の立場想像してみて下さい

事件

A社は、B社の法律的に問題のある妨害行動によって、2000万円<粗利600万円>の案件を受注するチャンスを失ってしまいました。
A社が請求できる損害賠償の金額は、どの程度なのでしょうか?

この事件を裁こうとした時、
論点となるポイントは以下2つのどちらになるか想像してみてください。

 ①_B社が妨害行動をおこなった事によって、A社が仕事のチャンスを失った

 ②_B社が妨害行動をおこなった事によって、B社が利益を獲得した



それでは、弁護士のコメントに進みます。


弁護士の見解

弁護士

B社がこの案件をA社に代わって(横取りして)受注していれば、粗利額に相当する600万円を請求できる。  

但し、B社がその案件を受注しなかった場合は(妨害だけであれば)損害請求を求めるのは難しい。
なぜならば、A社の財産状態に影響はなかったと評価される可能性が高い為です。

A社の気持ち

A社

B社の妨害によって「チャンスを失った事」自体が損害だと考えている。
だから、論点はA社が損をした事であり、B社が得をしたか否かは関係ない。      

将来的な機会損失も潜在的な損害なので、被害額はその何倍にもなると感じている。

この損害賠償金・損害賠償をおこなう条件についての感覚の差異は、課題を捉える観点の違いによるのかもしれません。

観点の違い

 ◆発生した事象に基づいた法律の観点         【過去・結果】

 ◆将来的な期待値を鑑みた中長期的なビジネスの観点  【未来・期待】

商取引の金銭感覚

事件については一旦おいておき、一般論的な商取引の金銭感覚についてお話します。


適正な提供価格が2200万円のサービスを、2000万円に値引きすれば契約できるとします。

このサービスを提供する為には1400万円の原価(キャッシュアウト)が発生します。

つまり、2000万円で契約した場合の粗利は、以下の通りです。
2000万円 - 1400万円 = 600万円

そして、社内原価(販管費)が200万程度発生するので、営業利益は400万円となります。
2000万円 - 1600万円 - 200万円 = 400万円


さて、この契約をどのように理解するか?を考えてみます。
それは、その人のビジネスセンスの持ち方によって様々な価値観があると思います。

 「600万円 得しました!」

会社の販管費は無視して(つまり自分の給料で支払われる経費も無視して)
単純に、この案件を実施する事で増えた金額を【利益】と考えています。
極めて、雇われ社員的な、狭い視野での感覚だと思います。

 「400万円 得しました!」

♣より、少し経営的な視点に立って、
会社の利益を、自分のパフォーマンス成果と考えています。

 「200万円 損しました!」

営業利益が出ているにも関わらず、
2000万円で契約した事を、損したと感じています。

なぜならば、♠にとってこの契約は
お客様が2200万円のお金を支払う価値のあるサービスだからです。
その為、本来得られるべき200万円を獲得できなかった事を「損した」と感じているのです。



バンブー社長

これが、最も経営者的な観点だと思いますし、非常にビジネス感度の高い意見だと思います。  
とりあえず、お金もらえれば、お金が増えればOK。ってものでもないですからね。

継続的なビジネス感覚

ここで、また事件の話に戻ります


さて、B社の不道徳な裏切り行為によって、この案件の受注チャンスを失ったA社。


事件の当事者となった♦さんの主張

 「最大で4000万円程度の損害になってもおかしくない!」

彼は、損害額の基準を、B社の事情や実力には当てはめていません。
そして、彼は、将来的な機会損失がどのくらいのものか、想像できる視野を持っています。
自分の能力、自分の(過去・未来の)ビジネスプロセスを論点にして考えます。

バンブー社長

まあ、♦さん主張は強固すぎるし、
かつ主観的なので説得力にかけるかもしれません。

この理論が、法規的に成り立たない事は前述の通りですし、
感情論的にも、第三者に同じ温度感で理解してもらうのは難しいでしょう。        

それでも
♦さんの気持ちも分かるよ」

と感じた人も多くいると思います。

なぜならば、

チャレンジしているビジネスマンにとって
「未来の可能」とは、最も重要な要素だからです。

  

期待値にBETする

ビジネスマンは将来の期待値を上げる為に日々努力をしています。
時にはリスクも腹をくくって受け入れる覚悟を持って戦っています。


あなたが長年積み上げた信頼・実績の上で手に入れたチャンスを失ってしまったら、
その被害は、その瞬間に発生した機会損失よりも遥かに大きいと感じるでしょう。


それまで可能性を信じて、賭けてきた想いがあればあるほどに。


期待値にBETする 

私はテキサスホールデムというポーカーが好きで、
アミューズメントカジノなどでプレイしています。

もちろんギャンブルで一攫千金を求めている訳ではありません。
思考の駆け引きをするゲーム性がオモシロイのです。

テキサスホールデムでは、手札の強さが段階的に判明していきます。

序盤に自分の手札が弱くても、その先の展開に期待値が高ければ、
ベット・レイズ(賭金を追加する・相手の賭金に上乗せする)をします。

そのような先き読みが、相手プレーヤーとの心理戦を有利に戦うテクニックだからです。

 ◆テキサスホールデムでは、その先の勝率を計算して掛け金を吊り上げていきます。
 ◆ビジネスでは、将来的な展望を考えて、お金や労力を投資していきます。

テキサスホールデムもビジネスも「未来の期待値にBETする」のは同じです。

株式会社SPINNA BAMBOOは、事実上の始動から4か月が経過しました。
これから、どんどん色々な事にBETしていきますので(チャレンジを増やしていきますので)
今後とも、どうぞよろしくお願い致します。😁

Bambooコラム

新村裕介
株式会社SPINNA BAMBOO 代表取締役

飲食店の調理師、店舗の工事会社、大手不動産系列の建築デザイン会社、大手什器メーカーのPM部門を経て、
2022年8月 株式会社SPINNA BAMBOOを設立。
ブランドショップの工事担当から、オフィスづくりの法人営業、ビル改修のコンストラクションマネージャー、
総予算100億円を超えるオフィス移転のプロジェクトマネージャーまで、多種多様な実績を積んできました。
この長年の経験を活かして、常にプロジェクトの入口から出口までの一気通貫した全体視野を持ちながらも
それぞれのステージに必要な役割に特化した、専門性の高いパフォーマンスを発揮します。
また、某大手IT企業での総務マネージャー経験もある為、インハウスの目線で課題を掴む事も得意です。

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