窓の無い部屋 ~建築基準法~

Bamboo社長のプロジェクトマネジメント論
<コンストラクションマネジメント>

こんにちは、バンブー社長です。
少し専門的な話になってしまいますが、
建築業界では、ここ1~2年で「30㎡以上の無窓の居室問題」というのが話題でした。

バンブー社長

以前、「答えがない!」というコラムで
日本の建築法規の分かり辛さに文句を言いましたが、
まさにそんなメンドクサイ事例でした。


30㎡以上の無窓の居室


この問題について私は自分なりに調べて解釈したのですが、
その、ややこしい説明を何人にもするのが面倒になったので、
説明動画を作成して、会社の同僚やプロジェクトメンバーに見させました。笑

今日、久しぶりに見てみて、
やはり日本の建築法規は分かり辛い‼ と、再認識。

ちょっとマニアックな内容ですが、興味がある方はご覧下さい。 ⇒解説動画のリンク


簡単に説明すると、こんな感じです。

<経緯>

今まで、グレーゾーンだったが黙認されてきた建築ルール(規制)がありました。
 ⇒余計な事する奴が、そのグレーゾーンに対して (OK)or (NG)の質問をした。
 ⇒行政側は、それをと判断できるような回答をした。(これはヤバイ。。)
 ⇒行政側は全部がだと厳しすぎるので30㎡以内の居室はルール免除という規制緩和をした。
  (これが超ありがた迷惑)
 ⇒30㎡以内は免除って事は、30㎡以上は完全に黒だよ。って、事になるよね。💦
  今までみたいに、グレーを白と判断して、行政指導くらったら誰が責任取るの?俺は嫌だからね。


どんな解釈をしても、必ずどこかに結論に矛盾が生じる無責任な法規によって
多くの人が、他人に責任を押し付けようとする。そんなカオスな状況が生まれてしまいました。


当然ながら色々な混乱や反発があったのでしょう。
先月、その問題に対しての規制緩和の発令が公表されました。⇒規制の事前評価書

私自身も相当振り回されたので「何なんだよ!」という気持ちもありますが、
まあ、早急に民間の要望を汲み取ってくれた事は評価すべきかもしれませんね。(苦笑)

この法規が議論されたのは、ほんの1~2年間です。

そして、それを課題として受け止めて、
将来的なリスクを鑑みた正確な対応をしたのは、
一部の感度の高い(レベルの高い)建築会社や設計事務所やPM会社のみでした。

この法規は、その期間に建築工事を実施した発注者だけが被った不利益とも言えます。
それも、一部のレベルの高い会社に建築プロジェクトを依頼した発注者に限られます。

なぜならば、大半の工事会社・設計事務所・PM会社は、
このような課題が発生していた事すら知らずに該当期間をスルーしています。
きっとこれからも、この事象が発生していた事すら知らないままでしょう。

だって結果的に規制緩和になるのですから、
この期間中、何も考えずに建築プロジェクトを遂行したとしても、
将来的にそれが違法建築となる可能性は低いでしょうからね。

規制緩和されたのは結果論です。
情報の感度を高く持ち、その時の条件で最善をつくせる仕事がベストなのは間違いありません。

但し、今回の顛末においては、
法令順守や顧客の将来来なリスクに対して敏感に対応して最善を尽くした会社が結果的に損をした。

そんな後味の悪さを感じてしまいます。

法の目的は人の幸福を平等に守る事だろう!
忖度や、ポジショントークや、無知な人に優位に働いてどうするんだよ!と、私は言いたい。

建築プロジェクトには、こんな事もあるんです。(><)
それでも、皆で力を合わせて、高い意識を持って、がんばっていきましょう!

新村裕介
株式会社SPINNA BAMBOO 代表取締役

飲食店の調理師、店舗の工事会社、大手不動産系列の建築デザイン会社、大手什器メーカーのPM部門を経て、
2022年8月 株式会社SPINNA BAMBOOを設立。
ブランドショップの工事担当から、オフィスづくりの法人営業、ビル改修のコンストラクションマネージャー、
総予算100億円を超えるオフィス移転のプロジェクトマネージャーまで、多種多様な実績を積んできました。
この長年の経験を活かして、常にプロジェクトの入口から出口までの一気通貫した全体視野を持ちながらも
それぞれのステージに必要な役割に特化した、専門性の高いパフォーマンスを発揮します。
また、某大手IT企業での総務マネージャー経験もある為、インハウスの目線で課題を掴む事も得意です。

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