答えがない! ~建築基準法~

Bamboo社長のプロジェクトマネジメント論
<コンストラクションマネジメント>

こんにちは、バンブー社長です。
「行列のできる法律相談所」は、学生時代のお気に入り番組でした。
まだ橋本弁護士と北村弁護士が出演していた頃、
二人の見解が食い違って口論になるくだりが最高でしたね。笑
私は当時、この番組を楽しむ一方で疑問も感じていたのを覚えています。
だって、法律は「六法全書」に全て書いてあるハズですよね。
あれ??法律のプロである弁護士さん同士の見解が違うのは何でだろう?
そういえば、選挙で憲法改正とか言ってるけど、
第9条について政治家の見解も違うじゃん。
そうか、法律にも憲法にも明確な基準がある訳ではないんだ。
という事を覚えたんです。
建築基準法
それから社会人となり、
建築基準法も同じだという事を知りました。
法文に明確な回答が記載されておらず、
一級建築士でも見解が異なる場面が少なくありません。
そもそも調べるのが面倒くさい構造になっている上に、
文章が不親切で解り辛いんですよね。
例えば、
「特殊建築物」という建物では「内装制限」というルール
(火災に強い建築材を使用しなさい)に従って工事をしなければなりません。
そこで、「特殊建築物」とは何ぞや?
を調べるために「法令」と「政令」を調べるとします。
※「法令」は法律で「政令」とはその法文説明です。

その下には「告示」という国土交通省の通知(規制緩和など)があり、
建築プロジェクトで最も確認・協議する必要に駆られるのが、
この告示利用の可否についてです。
法令A 特殊建築物の内装
以下に揚げる特殊建築物は、政令Bで定められたものをのぞき、内装制限を満たさなければならない。
1_劇場、映画館 2_・・・
政令B 内装制限を受けない特殊建築物等
政令B 内装制限を受けない特殊建築物等
法令Aの規定により政令で定める特使建築物とは、次に掲げるもの以外のものとする。
1_自動車車庫 2_・・・
突然ですが、ここで皆さんにクイズです!
「自動車車庫」は内装制限を満たす必要があるでしょうか?
シンキングタイム60秒でお答え下さい。


これは2重否定なのか?
「それ以外」のものを「除いて」だから、💦💦
う~む。もはや、ただの意地悪問題ですね。
情けない事に、これが日本の建築業界の法文なんです。(><)

答えは
「必要あり」
<解説>

B君がOKした建物には内装制限しなくても大丈夫だよ。
それ以外は内装制限のルールを守ってね。

ここで説明してるのは
A君にOKした内装制限を受けない築物のことだからね。
それは、
自動車車庫
以外のものは当てはまらない ってこと。
あはは、意味わかるかな?
つまり自動車車庫は内装制限が無しでOKなんて、ヒトコトも言ってないよ~。(*‘ω‘ *)

こんなふうに書いてあったら、
誰でも理解できるんだけどね。
こいつらを、殴りたくはなるけど。w
原文だとこんなにヤヤコシイ。
建築基準法 第35条の2 特殊建築物の内装
建築基準法施工例 第128条の4 制限を受けない特殊建築物等

建築のルールは建築基準法だけではありません。
消防法、地方団体の条例(東京都火災予防条例など)、
建設業法、ほか、順守しなければならない規定が非常に多いです。
特にやっかいなのは、それぞれのルール・指導に矛盾が発生してしまう場合があるんです。
例えば、消防署(消防法)から受けた指導「スプリンクラー警戒範囲の明確化」が、
建築指導課(建築基準法)にとって「排煙区画の不明確化」になる。といった具合にです。

そんな矛盾は、
国土交通省(建築基準法)と法務省(消防法)で結論を出しておいてくれよ!
その矛盾について、建築導課や消防署へ相談へ行っても、
条文に書いていなければ(そのものズバリで解釈できなければ)
帰ってくる回答は、単なるポジショントークです。
「私からはOKもNGも言えません、是正指導を受けないように適切な判断をして下さい」

こちとら、条文に書いてないから(文章が分かり辛いから)、
わざわざ手間をかけて聞いてるんですよ。
そのグレーゾーンに対してYes/Noも回答(判断)できないのであれば、
相談窓口が存在してる意味がないじゃん!
と、感じてしまいますが(今回、愚痴っぽいかな。^^;)
それを言ってしまうと全部がNoと断定されてしまうので、ぐっと我慢。。
最終的には(茶番じみた協議の上で)
設計者・施工者・建物管理者が「法の趣旨」を鑑みて判断しているのが現状です。

建築プロジェクトでは
わざわざ諸官庁に聞かなければ波風たたずに済む事象を
会社の諸事情によって、エビデンスや判断根拠が必要となり、
あえてそのリスクを負ってでも確認しなければならない場面も往々にしてあります。(><)
そのような状況において、
有利な結論に辿り着く為には、
露骨に言えば、帳尻を合わせる力も重要になります。
これは、発注者にとっても、
施工者にとっても、PM会社にとっても非常に有益な観点です。
皆様のプロジェクトでもぜひ意識して、ご活用頂ければと思います。
今回も読んで頂き、ありがとうございました。

新村裕介
株式会社SPINNA BAMBOO 代表取締役
飲食店の調理師、店舗の工事会社、大手不動産系列の建築デザイン会社、大手什器メーカーのPM部門を経て、
2022年8月 株式会社SPINNA BAMBOOを設立。
ブランドショップの工事担当から、オフィスづくりの法人営業、ビル改修のコンストラクションマネージャー、
総予算100億円を超えるオフィス移転のプロジェクトマネージャーまで、多種多様な実績を積んできました。
この長年の経験を活かして、常にプロジェクトの入口から出口までの一気通貫した全体視野を持ちながらも
それぞれのステージに必要な役割に特化した、専門性の高いパフォーマンスを発揮します。
また、某大手IT企業での総務マネージャー経験もある為、インハウスの目線で課題を掴む事も得意です。
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