我武者羅 禁止令

相原毅の私的なオフィス論#8

今こそ変化のとき!

ヤングな皆様にはおよそ考えられないかもしれませんが、
我ら昭和引きずり世代の娯楽の王様といえば、
いまだテレビが永遠不動のポジションに君臨しています。

NetflixとかHuluなんぞには目もくれず、
相も変わらずカチャカチャチャンネルを回しているわけですが、
およそ半世紀見続けてきて、その時代ごとの世相を最も映し出しているのと感じるのは、
番組プログラムよりも、むしろ合間に流れる企業のコマーシャルだったりします。

最近、ワタクシ的にすごーく気になるのが、
やたらと流れている転職サイトのCMです(〇〇リーチ!とか)。
出演するタレントさんたちも若い方が多く、
転職に対して強いポジティブイメージを押し出しているものが多く見られます。
(チャンスがあるのに転職しないなんて○○みたいな)

そんな近頃の転職サイトの謳い文句を拾ってみると

 ◆_貴方には貴方自身が気付いていない魅力、強みがたくさんあります
 ◆_弊社はそれを引き出し、各方面へアピールします
 ◆_驚くような役職や誰もが知る有名企業からスカウトが来るので、びっくりしないでね!

だいたいこんな感じでしょうか?

                   
うーむ、フツーに考えれば「そんなわけないだろっ!」とすぐ突っ込める程度の甘言ですが、
社会経験の浅い方々が鵜呑みにして、思わぬことにならなければいいなと思うのは、GGYの余計なお世話でしょうかね?

見方によっては誤解されかねない勧誘(だよね?)がひろがっているのも、
世の中の「変化」に対する強いニーズがあるからだと考えられます。

生活や仕事が安定している状況であれば、変化はそれほど強く求められるものではありません。
ワタクシも以前は超ビビりで、客観的に見れば不安定極まりない状況で、
まさに自らの変化が必要な局面でも、無理やり小さな安定部分を探して自分を騙していた時期がありました。
メンタルがネガティブな状態だと、変化の方向がマイナスに動くイメージしか描けないんですよね。

改革のその後で・・・

近年、働き方改革(もうあんまり言わないね)の大号令のもと、昭和的な就労環境がだいぶ改められた感があります。
なかでも残業時間の制限については、三六協定の順守などで相当厳しく管理されるようになりました。

表向きは仕事と生活のバランスを重視って感じですが、
裏を返せば、与えられた時間内で仕事はキッチリ納めて、それ以上の超過は一切認めませんよってことなので、
逆に厳しい状況だと感じている方も多いのではないでしょうか?

ともあれ、結果としては会社に縛られる時間が抑えられ、
家族や自分の為に振り分けられる時間が増えて皆万々歳と言いたいところですが、
多様性を受け入れる社会と考えると、ちょっとモノ申したい点があります

一億総活躍社会の枠組みのなかに
「家事や子育て、配偶者のバックアップをしっかりやりたい専業主婦(夫)」志望のヒトはいないことになっているのと同様に、
働き方改革の中では、「スキルアップのために脇目もふらず仕事に打ち込みたい」ヒトはいないことになっています。
だけど実際には一定数、このようなヒトたちは間違いなく存在していて、
ぬる~い就業環境と成長機会の少なさに対するイラ立ちを、ネット上にぶちまけているのを時々見かけます。

自分の成長につなげられそうもない仕事や会社に見切りをつけて、
環境の「変化」を求める先として、前述の転職サイトに優秀な人材が多く集うようであれば、
働き方改革もやりっぱなし、投げっぱなしではなく、ズレてきちゃった部分のアップデートが必要なのではないでしょうか?(もう飽きちゃったかな)

そこそこの年月をオフィス屋として過ごしてきて強く感じるのは、やはり「場数を踏んでいるヒトは強い」ってことです。
自分の許容量を増やし、対応力を身につけていくには経験を積んでいくしかありません。
それにはどうしても時間が必要です。
ワタクシ的な意見ですが頑張りたいヒトが頑張れる社会であるほうが健全だと思いますし、
それを抑制してしまうことで全体的なレベルダウンに向かうのでは、と大いに懸念しています。

のんきなお父さん方は、
くだんの転職サイトCMを見て「最近の若い人はすぐ辞めるからなぁ」なんてうそぶいているかもしれませんが、
ワタクシ的には今後のニッポンの行方を左右しかねない、結構大きな問題を孕んでいるように見えます。

皆様の視点からはどのように映っていますでしょうか?

まぁ今の若人の方々は我々GGY(その昔には新人類と呼ばれていました)と違って、柔軟で行動力にも富んでいるから、
窮屈に感じた時点で、とっとと起業しちゃっているかもしれないので、心配しなくていいかもね。

今回は「重いハナシを軽~いタッチで」で書くつもりだったのですが、
なぜかイヤミと愚痴が多くなってしまったのは、いつものこととしてお許しいただければと思います。

Get working!

御機嫌よう

バンブー社長

何歳になっても、少年のようにチャレンジを続ける義理のオトーチャン。笑    
今回のコラムは、ご自身への叱咤激励も込められているように感じました。
※勝手に考察コメントしちゃってスミマセン。(><)

先日、相原さんがSPINNA BAMBOOの1周年記念に手作り竹トンボの記念品を贈ってくれました。
いつまでも、こういう仲間に応援してもらえる会社であり続けられるように、私も努力していきたいです。

相原 毅

株式会社イトーキ ワークスタイルデザイン統括部 
コンサルティングセンター シニアディレクター

1991年からインテリア設計事務所にてキャリアをスタート。
主に丸の内界隈のオフィス移転・改修等を中心にインテリアデザイン設計及びプロジェクトマネジメント、
コンサルティングを担当、2020年より現職
2000年~2006年、三菱地所
ビル管理部 新ビルテナント工事請負室に出向、丸の内再開発事業に携わる
主幹プロジェクトにて2010年日経ニューオフィス推進賞、
2018年日経ニューオフィス経済産業大臣賞、並びに日本ファシリティマネジメント大賞受賞
工作、エレキベース、自転車、少年野球が好き

  • 我武者羅 禁止令
    自分の成長につなげられそうもない仕事や会社に見切りをつけて、 ズレてきちゃった部分のアップデートが必要なのではないでしょうか?
  • 「モノ」のデザイン・「コト」のデザイン
    今までは、形あるもののカタチ。すなわち「モノ」を創ることがデザインと捉えられていたと思うのですが、形のない概念やシステムといった「コト」を構築することも、近年はデザインの枠に含まれるように変化がみられます。
  • 未来派な僕ら
    京都では300年を超えないと老舗と呼ばず、昭和以降はもはや「最近のお店」とされます。 一方で、イマドキの企業寿命は30年程度といわれることが多いようです。
  • ワークスタイルのDNA
    スタートアップには、狩猟民族のキャラバン的な要素を感じます。 少数メンバー個々の役割、責任範囲が明確で、各々がプロの立ち振る舞いをしないと、たちまち頓挫してしまうでしょう。
  • ニッポンのハタラキモノ
    共感力を高め、理解し合うことが組織運営や個人の成長につながります。そして「集まること」への意義は、強く明白になっていくのでないかと考えます。