設備設計の正体
Bamboo社長のプロジェクトマネジメント論
<設備設計>
こんにちは、バンブー社長です。
今回は設備設計についてのコラムです。
抵抗(ニガテ意識)のある人もいるかも知れませんが、ぜひ読んでみて下さい!
設備設計は難しい?
建築プロジェクトに関わる多くの人達にとって、設備設計・設備工事というのは
「大切なのは分かっているけど、設備工事・設備設計は複雑で難しい」と思われています。
それどころか、「自分には関係のない分野」と割り切ってしまう人も少なくありません。
確かに、専門家ならではの知識や特殊な技術が必要な面もありますが、
だからと言って、PM・CMはもちろん、建築の設計者や発注者が「良きに計らえ」ではデメリットが大きすぎます。
【専門レベルの知識を有していない事】と
【専門家に任せっきりにする(責任を丸投げする)事】をイコールにするのは勿体ないです。
少しの基礎知識や、ちょっとした考え方のコツを知るだけでも武器になりますので、
このコラムをキッカケに興味を持って下さる方が1人でも増えれば、嬉しい限りです。
ちなみに、BAMBOOは、設備設計のできるPM会社である事をストロングポイントとしていますが
その実務(成果物の作成)「容量計算・作図」をおこなうのは外注の設備設計会社に発注しています。
「おいおい、中間マージンとってるブローカー商売かよ!」とは思わないで下さい。
設備設計の打ち合わせ「与件整理」をするのはBAMBOO社員であり、
BAMBOO社員が設備設計者を最適にコントロール「計画方針の指示」をします。
だからこそ、設備の専門知識ONLYの判断では無く、
広い視野でデザインにも、工事コストにも、工事スケジュールにもバランスをとったマネジメントが可能です。
その結果、設備設計者の工数をBAMBOOが最小限になり、
そして最短距離(よけな手間をかけずに)でゴールまで導くので、
設備設計会社をダイレクトに使うよりも、設備設計費をリーズナブルに抑えられる。
という、良い事だらけの超優良サービスなのです!^^
⇒SPINNA BAMBOOの設備設計
このコラムは、BAMBOOの営業目的では無いですよ。笑
皆様に設備設計についての有意義な情報をお伝えするにあたって
副次的に、弊社のサービス紹介が含まれてしまうだけです。 ♪~(´ε` )
設備設計とは
建築プロジェクトに関わる人がイメージする設備工事区分は以下となります。
その理由は、ゼネコンの工事見積書の構成がこのように項目分けされているからです。
1~4は、取り扱う機器や工法によるカテゴライズです。
・電気設備工事(電気を取り扱う工事)を、株式会社〇×電気に発注する。
・空調設備工事(空気を取り扱う工事)を、株式会社◇◇空調に発注する。
要するに、元請ゼネコンが、発注する下請け設備工事会社の単位で項目を分けている。という事ですね。
その為、同じカテゴリー1(電気を取り扱う工事)でも、
1-bコンセント設備と1‐C避難設備では、その目的も設計ルールも大きく異なります。
それぞれの目的を記載したものが【図ー2】となります。
ここで分かるのは【図ー3】の通り、設備工事の目的は大きく2つの種類がある事です。
A_デザインや機能で、その空間の快適性・利便性を向上させる事
B_火災発生時の安全性を担保する事
Aは、設計者・デザイナーがクライアントの要望を聞きながら提案していくもので、
Bは、建築基準法や消防法など、法律を遵守した計画が求められます。
※厳密には、Aにも法的な基準はありますが、今回は割愛します。
それでは、設備設計が難しい理由を2つの例をあげて紹介します。
理由‐1 バランスのとり方が難しい
設備設計が難しい理由の1つに、
■他の要素(意匠設計や法規のクリア方法)
■設備設計・設備計画
両者のバランスのとり方(落としどころの見つけ方)が難しい事にあります。
それは、
設備工事自体のイメージのし辛さ。
法律解釈(建築基準法・消防法)の難しさ。
に、最初のハードルがあると思います。
◆設備工事の多くは、天井内や床下に隠ぺいされ成果物が発注者の目に入らない場合が多い。
※設備工事のボリュームをイメージするのが難しい。
◆建築基準法、消防法が複雑で単純に答えを出せない場合が多い。
※~こういう場合は免除される。といった、最も緩い(少ない設備投資でクリアできる)条件を狙う為。
その上で、設備工事についての判断ができる情報を、
整理してまとめる事も難しいです。
例えば、
Aの要素<デザインや機能で、その空間の快適性・利便性を向上させる目的>
その検討は、「発注者の要望」×「設計者の提案」で進みます。
エントランスに高級なインテリア照明を設置したい!
この300万円のシャンデリアは如何でしょうか?
会社内のどこにいても、携帯の充電ができるようにして欲しい。
めためた沢山のコンセントを計画しておきますね。
社長は暑がりだから、社長室の温度に気を付けて、、
社長室専用の超パワフルな空調機を増設しますね。
一方で、
B_火災発生時の安全を担保する事が目的
については、どのように法令を遵守するかの検討となります。
法規的に、この部屋にはスプリンクラーヘッドを5個増設しなければなりません。
そんなものにお金をかけるのは勿体ないから、3個にしてよ。
そんな事を言われても、ダメです。(><)
もし、どうしてもスプリンクラーヘッドの増設を3個に抑えたいのであれば
社長室のサイズや形など、物理的な環境を適応させる為の変更をしなければなりません。
設計方針として、どちらかを選択する必要があります。
①スプリンクラーを5個つける。
②社長室のサイズや形を変える。
その時に発注者が欲しいのは、
以下のような、トレードオフの要素が分かりやすい提案です。
社長室を5㎡小さくすると、
スプリンクラー工事が150万円安くなりますけど、どうしますか?
発注者にとっては、
5㎡の広さと150万円の工事費を天秤にかけて、どっちを優先するか?
その判断する事ができる値千金のアドバイスとなります。
実際のプロジェクト内での会話は、このような感じです
スケルトン天井の範囲をここまで変更すれば、各種設備工事が3000万円安くなります。
どうしますか?(お勧めですよ)
建築基準法の告示(内装制限)を利用すれば、1500万円の排煙工事が免除されます。
どうしますか?(お勧めですよ)
スラブtoスラブ壁の仕様を変更すれば、工期が大幅に短縮できます。
どうしますか?(お勧めですよ)
このようなアドバイスは、法規もコストもスケジュールも、
広い視野でフラットに見れる人間でないと難しいでしょう。
なぜならば、個人の役割(責任)を持っている人は、
全体最適化にたどり着くまでにタイムラグがあるからです。
◆意匠設計者は、まずはデザインの事を最優先に考えてしまう。
◆発注金額を管理している購買部は、まずはコストを最優先に考えてしまう。
◆引越し日を約束している総務部は、まずは工期を最優先に考えてしまう。
これが、必要な情報をタイムリーにテーブルに乗せて、
設備計画のメリデメを整理して考えるが難しい理由です。
これを、スピーディーに対応する為には、
プロジェクトマネージャーのような、全体最適化の視点が必要です。
理由‐2 費用対効果が見え辛い
コンセントが5個の部屋よりも10個ある部屋の方が便利なのは当然です。
「その差額が3万円ならば、10個にしよう!」と判断するのは簡単です。
ところが、このような選択をせまられたらどうですか?
サーバー室の空調機が故障したら大変です。
空調機を2台を導入して、片方が故障しても大丈夫な環境にしときますか?
その場合、空調工事の費用は1.5倍くらいになると思いますよ。
【要/不要】は、僕には分からないので、判断して下さい~。
1個の2000Wのブレーカー(からのコンセント)に、
最大出力1000Wの高性能パソコンを5台つなげて良いですか?
平常時の使用電力は、たぶん300Wくらいなので、5台で1500W計算でいけるかもです。
まあ、運悪く(同じブレーカーの人が)同時に最大出力を出さなければ大丈夫なのでは。
サーバー室の空調機が故障する確率も
高性能パソコンが最大出力になる頻度も分からないのに、
そんな判断迫られても、回答できるわけないですよね。
だからと言って、設備設計者に任せっきりになってしまうと、
十分な余裕を見込んだ(過剰な)計画になってしまう場合が多くなります。
なぜならば、設備設計者にとって最悪なのは、
計画に不備があって責任をとらされる事で、
逆に、過剰設備でコストUPする事、工期が延びる事に責任が無いからです。
最小限の設備計画をして、
「空調機が故障しなければ」
「ブレーカーが地絡しなければ」
その判断はコスパの良い正しい判断だった事になりますが
誰かから高い評価を貰えるような成果とはなりません。
(普通の事だと思われます)
一方で、過剰な設備計画をして
「空調機が故障しなくても」
「ブレーカーが地絡しなくても」
それは、その設備計画によって担保されている安全・安心となり
だれからも<無駄使い>と責められる事はありません。
つまり設備設計とは「正常に機能しているのが当たり前」
・足りなかったら怒られる。
・過剰なら安心してもらえる。
そういう宿命なのです。
これが、過剰な計画をセーブして、
コスパの良い現実的なラインを見極める事が難しい理由です。
設備設計の本質
SPINNA BAMBOOがPM&設備設計を強みにしているのは
私たちが設備設計会社では無く、PM会社であるからです。
PMという広い視点を持ちながら、
設備設計会社をコントロールして全体最適化を図れるからです。
発注者や、プロジェクトの関係者が設備設計者に望む事は、
ゴリゴリの理論だけでは無く、広い視野と経験値に基づく適切なアドバイスです。
サーバー室の空調について、
私の過去のお客様は、~のようなポリシーの方が多かったです。
重要データを外部のクラウドサービスでバックアップしておくなどの、リスクヘッジも考えられますよ。
高性能パソコンの電源供給について、
少し調査費用は発生してしまいますが、実際の使用電力を1週間連続して計測する事も可能です。
そのデータを、コンセント計画の判断基準にしては如何でしょうか?
総合建築工事(建築・設備工事)金額の半分は設備工事の費用です。
工事工程の半分は設備工事の期間に割り当てられます。
建築基準法は、構造などの建築的な要素が大きいですが、
消防法を遵守する為に必要なのは、消防設備(設備機器)の機能・性能の確保の担保です。
そんな、設備設計・設備工事を、全体プロジェクトの中の小さなサブワーキング要素として捉えていたら
それは、PM・CMにおけるマネジメント責任の半分を、放棄している(スルーしている)のと同じです。
設備の重要性と、そこにある責任・そこから生まれる付加価値を的適正に判断して、
専門家としての見解に固執せず、平坦な言葉で丁寧に関係各社への理解を求め、
プロジェクトに全体最適化されたバリューを提供をする事。
私たちは、それこそが設備設計の本質だと信じています。
次回の設備設計コラムではもう少し具体的に事例を紹介しながら、
どのように設備設計をプロジェクトの中で最適化させるのかを紹介したいと思います。
ありがとうございました!^^
新村 裕介
株式会社SPINNA BAMBOO 代表取締役
飲食店の調理師、店舗の工事会社、大手不動産系列の建築デザイン会社、
大手什器メーカーのPM部門を経て、2022年8月 株式会社 SPINNA BAMBOOを設立。
ブランドショップの工事担当から、オフィスづくりの法人営業、ビル改修のコンストラクションマネージャー、
総予算100億円を超えるオフィス移転のプロジェクトマネージャーまで、多種多様な実績を積んできました。
この長年の経験を活かして、常にプロジェクトの入口から出口までの一気通貫した全体視野を持ちながらも
それぞれのステージに必要な役割に特化した、専門性の高いパフォーマンスを発揮します。
また、某大手IT企業での総務マネージャー経験もある為、インハウスの目線で課題を掴む事も得意です。