仕事を楽しむチカラ
相原毅の私的なオフィス論#2
こんにちは、バンブー社長です。
株式会社イトーキのプロジェクトマネージャー相原さんが、私的なオフィス論の続編を作ってくれました。
相原さんは私よりも10歳ほど年上なのですが、いつも気さくに付き合って頂ける陽気なお父ちゃんです!
まあ、続編というか、、これからも続く相原ワールドのイントロみたいなコラムですが(笑)
楽しんで頂ければと思います。^^
最近 涙腺ゆるんできてない?
齢を重ねるとめっきり涙もろくなる、
なんてことを言ったり言われたりしますよね。
かく言うワタクシも生来半世紀を超えたあたりから、
時折、思わぬタイミングで涙腺崩壊滂沱止まらずの
状態に陥るようになりました(同世代あるあるでしょ)。
ヒップなヤング諸君からは、生命体として長く生きながらえているが故の
「身体的衰え」が唯一無二の要因だと断罪されそうですが、ワタクシこれには大いに異を唱えたい。
今日は論理的思考でこの涙腺緩み問題を紐解いてみようと思います。
(大丈夫、あとでちゃんとオフィスの話につなげます)
ワタクシが最近、涙腺崩壊滂沱止まらず状態になったラジオでの投稿はこんな話です。
登場人物はシングルマザー40代の女性と息子小学5年生、
早くに離婚されたので息子は父親を知りません。
いつかは離婚の経緯や父親のことを聞かれるだろうと、ずっと思い悩んでいた女性でしたが、
息子が誕生日を迎えた時に、意を決してそれらを息子に語り掛けます。
父親だった男性を貶めることなく、
かといって、祭りたてることなく人柄や特徴を伝え、
合わせてこれまでの経緯や息子の成長に伴う自身の心境の変化までを、余すところなく率直に伝えました。
普段とは違い、いささか神妙な面持ちで聞いていた息子でしたが、
女性が話し終えると急に晴れやかな表情になり、
静かに親指を立てると一言 「お母さん、グッジョブ!」
皆様どうでしょう?
グッときた方もいれば、あまりピンとこない方様々だと思います。
たぶん30歳あたりのワタクシだと「ふーん」くらいの反応でしょう。
これが20数年の年月で
涙腺崩壊のトリガーになるまで変化した要因、
これはズバリ、ワタクシ自身のなかに、
この話における「共感」のポイントが増えたからだと考えます。
ワタクシもかつては少年であり、息子でした(今もだよ!)
その視点から見る彼の心境、思春期の入口、
母への感謝を素直に表せない恥ずかしさ・もどかしさ、
もうコドモではないと強がりたい想い、
母を励ましたい・期待に応えたい気持ち
短い文章の中に込められた複雑なこころの動き、
このあたりは元少年として深く共感できるポイントです。
次に親としての視点です。
これは20数年前のワタクシにはなかったものですが、
いま中学生男子の親として日々悪戦苦闘している立場からも見える、
不意に成長を感じる驚き・まぶしさ、自分に向かって強がる息子のいじらしさ、
言葉に出さずともわかる愛情の交感といったところに、グググっと感情を揺さぶられてしまいます。
もう一つ、別れた父側からの視点ってのも共感ポイントに入ってきます。
ワタクシの周りには、
何故か複数回の離婚歴を持つベテランが集っておりまして、
遠い息子との交流にまつわる話をしょっちゅう聞かされます(同じ話何度もしないで)。
彼らの話に共通するのは、
別れた後も経済的支援をちゃんと行ってきたプライド、
遠くからでも見守っている静かな愛情、
もっと接触したい欲望とそれが出来ないもどかしさ、
自分に似た部分を発見した時の焦り、いらだち!
自分から離れていくことを感じた時の寂しさ!(なんかこの項熱いな)・・・
本来自分にはなかった視点ですが、
彼らとの交流(飲んでるだけですが)により視野が広がり、
そこから得られる共感も自分の一部となっているのではと思います。
どーですか?
これだけ共感するポイントが増えれば、
数あるトリガーに感情が揺さぶられ、
なんだかわからずに涙溢れるってのも納得でしょう。
改めて言いますが決して身体の衰えであちこちゆるくなったからではなく、
ヒトとしての許容量が増えた結果、感受性のセンサーが広範囲・高感度となったという訳なのです。
ご納得頂けましたでしょうか?
これら共感ポイントの増加は、
経験の積み重ねや周囲との交流・交感によってワタクシのなかに築き上げられたものです。
それらが多ければ多いほど、
人間性の深みが増してあらゆることを吞み込める人生の熟達者になれるんじゃないでしょうか。
「働く」を続けていくチカラ
さて、皆さんは働き続けていくエネルギーをどんなところから得ていますか?
ワタクシ自身は感情の起伏、喜怒哀楽が、その原動力になっているような気がしています。
齢とってからの方が仕事を「楽しめる」のは、
経験の積み重ねや各所との交流によって前述の共感ポイントを沢山持っているが故、
大いに驚き、笑い、怒り、落胆し、悲しみ、そしてまた大笑いし、日々賑々しく過ごせているから。
サーフィンだって波が小さいと楽しめないでしょ?(やったことないけど)
そこで気になるのが、国を挙げて大推奨の「テレワーク」なんだよね。
テレワーク中ってあんまり大笑いしたりしないし、
逆にモニターの中の相手に本気で怒ったりもしないですよね?
リアルでの交流に比べると感情の起伏が少なくなるのは仕方ないけど、
そもそも感情表現のトリガーとなる「共感力」を育む機会が乏しくなるんじゃないかと危惧しているわけです。
特にこれから経験値を重ねて成長していこうとする世代には、
「それが足枷にならないかな?」と、感じるのはワタクシの年齢のせいでしょうか?
ここから本題に入ろうと思ったのですが、
思っていたより前段の駄文雑記が長くなってしまいました。
2000字超えると怒られちゃうので、いったん今日はここで切り上げて
「テレワークを軸とした働き方の今後」については、
改めて書かせてもらう機会を頂ければと思います。
ここまでワタクシの戯言にお付き合い頂き、誠に有難う御座いました。
またの機会を、御機嫌よう。
相原 毅
株式会社イトーキ ワークスタイルデザイン統括部
コンサルティングセンター シニアディレクター
1991年からインテリア設計事務所にてキャリアをスタート。主に丸の内界隈のオフィス移転・改修等を中心にインテリアデザイン設計及びプロジェクトマネジメント、コンサルティングを担当、2020年より現職
2000年~2006年、三菱地所 ビル管理部 新ビルテナント工事請負室に出向、丸の内再開発事業に携わる
主幹プロジェクトにて2010年日経ニューオフィス推進賞、2018年日経ニューオフィス経済産業大臣賞、並びに日本ファシリティマネジメント大賞受賞
工作、エレキベース、自転車、少年野球が好き
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- 私的なオフィス論執筆者:相原 毅 株式会社イトーキ ワークスタイルデザイン統括部 コンサルティングセンター シニアディレクター